バルブ取扱要領
1.運搬・保管上のご注意
- 当社から段ボール梱包で出荷される製品は、外箱の強度・質量を考慮しています。しかし、湿気などで段ボール箱の強度が低下し梱包が破損する場合があります。段ボール箱製品の運搬には十分注意してください。
- バルブ操作部を持って運搬しないでください。操作部が外れ製品を落下させる恐れがあります。
- 運搬・保管時には製品を落下・振動させたり、重い荷重を掛けないでください。
- 製品は、ゴミや粉塵・湿気が少なく、通気性の良い屋内に保管してください。
- 当社製品は、品質保持のため出荷時に防錆・防塵・潤滑油注油・ビニール梱包などの処置を施しています。配管取付時まで、その状態を維持してください。
- ボールバルブを保管するときは、ボールを「全開」にしておいてください。「半開」で保管すると、ボールシートが変形する可能性があります。
2.配管接続上のご注意
- 製品の配管接続は、操作・保守点検・修理などを考慮し、十分なスペースを確保してください。
- バルブに過剰な応力が加わらないように注意し、必要に応じて配管サポート等を施してください。
- 温度変化によって配管などの伸縮が生じる場合は、伸縮を吸収する処置を考慮してください。
- 流れ方向が限定される製品は、鋳出しまたは銘鈑に表示される流れ方向(矢印)と流体の流れ方向を合致させてください。
- 製品に取付している防塵フタは、配管作業直前まで外さないでください。特に禁油処理製品は、防錆・防塵に十分注意してください。また、逆止弁には弁体固定の詰物が挿入されている場合があります。配管時、これらの保護物(防塵フタ・詰物)を除去してください。
- ご指定により、バルブ内にシリカゲルなどの乾燥(防錆)剤が挿入される場合があります。配管の際、必ずこの乾燥(防錆)剤を除去してください。
- 製品を接続する配管は、事前に接続部・配管内の切削油・切り粉・異物などを除去し、十分に清掃をしてください。
- また、接続部(フランジ面、ねじ部、溶接部など)に有害な傷がないことを確認してください。
- 逆止弁のすぐ上流側(一次側)、下流側(二次側)が、レデューサ―によって拡大・縮小されている場合、渦流や乱流による不具合を起こす可能性がありますので、バルブ呼び径の5倍以上の距離をおいて設置してください。5倍以上の距離がとれない場合は、事前に弊社までご相談ください。
- バタフライ弁及びデュアルプレート式逆止弁をエルボなどの間近に取り付ける場合は、できる限りエルボなどの上流側に取り付けてください。下流側に取り付ける場合は、ディスクを連結している弁棒に対し左右同一の流速となる方向に取り付けてください。
- 仕切弁とバタフライ弁は配管前に弁を少し開いた状態で配管してください。弁が完全に閉の状態で配管すると配管後に弁が開かなかったり、無理に開けて弁体や弁つりまたはシートが破損する場合があります。
<ねじ込み形バルブの取付け>
- 配管のねじ加工は、使用製品に合致するねじ規格で加工してください。
- ねじ込み部のシール材は、使用流体・温度などに適した材料を使用してください。また、シール材がバルブ内に入らないよう施工してください。
- 製品にパイプレンチを掛けて配管作業をしないでください。
- 配管に製品を接続する際は、図のように配管に近い側の接続端部にスパナなどの適切な工具を掛けて配管してください。
- 管や製品のねじ込み過ぎによる管端突当てにより製品が損傷します。管端突当てのないよう十分注意してください。
- ねじ込み形ボールバルブの場合、ボディーとキャップの結合部が緩む方向(反時計方向)に力を加えないでください。
<フランジ形バルブの取付け>
- 締付ボルトは、図のような手順で対角線上の位置のボルトを片締めにならないように均等な力で徐々に締付けてください。ボルト締付は最低2回以上行ってください。
- ガスケットは使用条件に適合したものを使用し、接続端面の内径側にはみ出さないようにしてください。
- ガスケット座がゴムシートと一体構造になっているバタフライ弁にはガスケットを使用しないでください。
- 外面をライニングまたはコーティングしたフランジ形バルブを配管する際は、R面取りされた平座金などを使用し、ボルト締付時にライニング面が損傷しないようにしてください。
3.使用上のご注意
- 配管取付終了後、必ず配管ラインのバルブを全開にして、フラッシング(管内洗浄)により管内の異物を除去してください。このフラッシング中は、バルブの開閉操作は絶対に行わないでください。
- パッキンは、バルブの運搬・保管中・流体の通し始め及び運転中などにおいて、その性質上発生する応力緩和により、締付圧力が低下する場合があります。使用前に必ずグランド部(パッキン押さえナット、グランドナット)の増し締めを行ってください。また、使用中に漏れが続くと、漏れ筋が発生して増し締めしても漏れが止まらない場合があります。日常点検を行い、早期に増し締めを実施してください。増し締め時は片締めに注意し、グランドが水平となるよう均等な力で締付してください。
- パッキンを交換する場合、バルブ内の圧力を抜くなどして危険な状態を避けてください。
- バルブに保温/保冷カバーを取付けする場合、グランド部(パッキン押さえナット、グランドナット)が増し締めでき、漏れが確認できるように考慮してください。
- バルブが高温で使用される場合、使用温度に上昇した後、ボルトやユニオン部の増し締め(ホットボルティング)を行ってください。
- 運転中は、全てのボルト・ナット類を絶対に緩めないでください。
- 加圧状態でバルブから操作機を外さないでください。
- バルブの開閉操作は、流体の通過音、操作の感触、弁棒の動きなどに注意して有害な振動・異常音の有無及びバルブが円滑に作動することを確認しながら行ってください。
- バルブの操作時、圧力計や流量計が近くにある場合は、計測器を見ながら行ってください。
- バルブにバイパス弁が付いている場合、バイパス弁から流体を通して主管のウォーミングアップを図り、メインバルブの上流側と下流側の圧力バランスをとるなど操作が行い易い状態にしてからメインバルブを操作してください。
- 蒸気など高温流体を通すときは、通し始めに熱歪み、不同膨張、空気、ドレンの停滞などによる悪影響が発生しないように、ゆっくり時間をかけてできるだけ均一な温度で定常状態になるようにしてください。
- 流体が液体の場合、水撃作用(ウォーターハンマー)が発生しないよう、ゆっくり開閉操作を行ってください。
- 密閉ライン(閉止バルブなどで縁切りされた配管)で、流体が液体の場合、密封された流体が流体温度あるいは周囲温度の上昇により異常昇圧する場合があります。配管設計においてプレッシャーリリーフ弁を設置したり、密閉配管ラインを発生させないバルブ操作手順を守る等の適切な対策を施してください。
- 長期間にわたり開閉状態を変えないバルブは、種々の要因によって操作性の低下や可動部分の固着が起こる場合がありますので、定期的に全開全閉操作を行ってください。
- 寒冷地において、配管内やバルブ内の残留水の凍結により製品が損傷する恐れがあります。凍結が予想される環境下では残留水を除去するか適切な凍結防止処置を実施してください。
4.製品取扱い上のご注意
- 製品を長く安全にご使用していただくために、日常点検・定期点検を計画的に実施し、異常の早期発見、必要に応じた適切な処置を行ってください。詳しくは当該製品の取扱説明書を確認してください。また、製品を正しく使用していても、使用条件やそれぞれの製品の特性による寿命があり、部品の交換や製品の取替え、または使用条件に合った製品への変更が必要です。
- 本カタログで紹介する製品の取扱説明は、想定される全ての内容について記載しておりません。詳細につきましては、当該製品の取扱説明書を必ずお取り寄せいただき、内容を十分に確認の上、弊社製品を正しく安全に使用してください。
(参照文献:一般社団法人 日本バルブ工業会 バルブユーザガイドJV3)